From Ohana 「絵本で子育て」
ハワイに住みながら、英語環境でお母さんやお父さんの母語、日本語をなんとか教えようとされている親御さんは多いことでしょう。そして、それが一筋縄では行かないということも体験済みではないでしょうか?
言葉は、絵の具のようなものです。たくさんの色があるからこそ、様々な色で、絵を描き、それがストリーになります 。
まずは、子ども達のパレットを色々な色でいっぱいにしてあげましょう。 絵本がそのお手伝いをしてくれます。日本語、英語にこだわらず、質の良い絵本から、たくさんの言葉、子ども達の感性に働きかける言葉にたくさん触れさせてあげて下さい。
家庭において、一番身近ですぐできるのが、絵本の読み聞かせです。日本語でも英語でも、子ども達に読み聞かせをしましょう。たくさんの言葉に触れ、たくさんの色が揃えば、子ども達のパレットにたくさんの色となって残ります。そして、その絵の具で、子ども達は自ら、 カラフルで楽しいストリーを作っていくことでしょう。それから、絵本には言葉以外のことがたくさん詰まっています。それも忘れずに楽しんで下さいね。ここでは、そんな観点から、英語絵本を紹介します。ご家庭でお子さんと一緒に英語絵本を楽しんでください。
The House of Four Seasons
By Roger Duvoisin (1956)
邦題:はる、なつ、あき、ふゆ いろいろのいえ
家庭は子ども達の生活や教育の原点です。家族で住む家は、'House' (器)であり、そこに住む人たちの心の拠り所は'Home'(家庭)と英語では区別して表現します。
欧米では、古い家を買い、そこに住みながら何年もかけ住みやすいようにリフォームし、完成したら売り、また違う家へ移るということをする人たちが少なくありません。欧米人の「家」に対する考え方が伺えます。まさに文化の違いです。
このお話は、家族の家 'house' を家族の拠り所の場 'homへ、みんなで築きあげていく様子を描いています。
お話の最後は、お父さんが、家の外壁の色について、それぞれの家族の意見の食い違いを、上手にまとめながら、子どもたちの学びの場として終わっています。
久しぶりに手にとり読んだ一冊でした。 50年以上前に書かれたお話ですが、今でも楽しめる一冊です。
【あらすじ】
お父さん、お母さん、そしてビリーとスージーは、ある晴れた日に、くねくねした道の多い、田舎へと家探しへ行きました。そこで、静かな森の中にある古い、一軒の家を見つけました。
すぐに、家を買うことにしましたが、中も外もかなり手を入れることが必要で、早速、家族総出で家の修繕を始めます。外壁のペンキも塗り直す必要があります。スージーは「赤と緑にしようよ。春に綺麗だもの」と言います。ビリーは「いいや、黄色と紫がいいよ。きっと夏にぴったりだもの」、そして、お母さんは「秋を考えると、茶色と青だわ」と言いました。お父さんは「緑とオレンジがいいな。冬にあう」と。そこで、家の4つある壁をそれぞれ、好きに塗ることにし、ペンキ屋さんへ行きました。が…。みんなの欲しいペンキの色がありません。
そこで、お父さんは、「三原色、赤、黄色、青、のペンキから自分たちの欲しい色ができるよ」と、教えました。これで「House of Four Seasons」ができるねと子どもたちは大喜び。
お父さんは「そうだ、もっと面白いことを教えてあげよう」と、硬い丸い紙を六つに分け、三原色を交互に塗りました。そして、真ん中に糸を通しました。くるくるっと糸の両端を持って回し、手を止めると、まるい紙は勢いよく、回り始めました。
そこで見えたのは、三原色ではなく、白一色の丸い紙でした。
「さて、これで、我が家ぴったりの色が決まったね。「白い家にしよう!!」「白は全部の色の元の色」だから、これが本当の House of Four Seasonsの色だよ!
こうして、家族総出で家のペンキ塗りは始まりました。
学びはどこにでも転がっていますね。生活の中で、ちょっと手を休め、お子さんと一緒に「学び」を探してみてはいかがですか?